GA4とUAでデータが違う場合に確認すべきこと①

公開日: 2023/9/1

GA4情報

こんにちは、FAROチームです。

GA4に移行はしたものの、UAと数値や定義が変わりお困りの方も多いかと思います。GA4に移行はしたものの、UAと数値や定義が変わりお困りの方も多いかと思います。 
本日は、GA4とUAの数値が一致しない場合に考えられることをピックアップし、お届けします。

なぜGA4とUAで数値が一致しないのか

GA4とUAは基本的に取得するデータモデルが異なります。UAではWEBサイトのみが計測対象でしたが、GA4ではアプリも計測対象となり、包括的なデータ取得が可能になりました。

また、セッションを中心としたデータ体系から、イベントを中心としたデータ体系へ変更されました。

GA4ではAIを使ったアプローチが組み込まれており、そもそもUAと根本的な設計理念が異なります。UniversalAnalyticsでは、セッション・ページビュー・eコマースなどデータごとに種類が異なるヒットデータが送られていました。
GA4ではほとんどが「イベント」として取得され、セッションやページビューという「イベント」が取得されるようになりました。

このため、セッションや直帰率といったかつてのヒット単位の指標やディメンションは変更・廃止となりました。

定義や取得方法が変わって並列比較できない代表的な指標として、セッション、コンバージョン、イベント、直帰率などが挙げられます。

なお、PVなど比較できる指標もありますが、特定の設定条件下でのみ比較が可能であり、基本的にGA4とUAデータは並列比較することができません。

GA4ではUIに表示されるデータと探索レポートで表示されるデータ、APIで取得できるデータのソースが異なるため、同じプロパティ・同じ期間で合ってもUI・探索・API経由のデータで数値に差が発生することがあります。

そのため、同じ名称のディメンション・指標であっても数値が一致しないことは多く、近似できる指標もあるものの、測定方法の変更・定義の違い・サイトの設定方法により近似できない場合があります。

基本的にGA4とUAデータは「完全一致はしないもの」と考え、GA4でのデータのとり方・KPIの設定を新たに考えていくことが推奨されます。

上記の前提とは別に、設定による差がある場合
(そもそも取得しているデータに問題がある・差がある場合)

設定により差が出る場合には、下記の4つが考えられます。

①古いタグ(analytics.js)を使っている

  • タグの実装ミス・タグの設定範囲が異なる場合
  • analytics.jsを利用している場合、イベントが正確に記録されないことがあります。

②UAではデータフィルタがかかっていた場合

[GA4] データ サブセットのフィルタリング、レポート、アクセス制限 - アナリティクス ヘルプ

  • UAではビューごとに設定できたデータフィルタはGA4では使用できません。 
    (360でのみ類似機能の「サブプロパティ」が利用可能)
  • 特定のURLパラメータを除外していたケースも同様であり、データフィルタ・
    URLパラメータフィルタ機能がないGA4では比較ができなくなることがあります。

③セッションの継続時間(タイムアウトするまでの時間)設定を変更していた

 ④UAからコピーされたCVがうまく稼働していない
 

  • コピーされたCVは自動翻訳され、類似CVイベントとして登録されますが、互換性がない
    ディメンション・パラメータを使用していた場合などはCV自体が測定できていない可能性があります。

よくある「ズレ」のパターン

①セッション数がズレる

  • セッション数は測定定義が変更になったこともあり、一致することはほぼありません。
    また、GA4のセッション数はユニーク セッション IDを元にした「推定値」であるため、
    UAの数値とは必ずしも一致しません。
  • 一般的に、セッション数はUA>GA4となることが多いです。

A.セッション数がUA>GA4となるケース

  • セッションが途切れるタイミングが変化した
    • UAでは日付が変わったタイミング・新しいキャンペーンパラメータによる
      セッションが開始されたタイミングで新しいセッションが開始されるように
      なっていましたが、GA4ではこのようなセッションの断絶がないため、
      UA>GA4となりやすいです。

B.セッション数がUA<GA4となるケース

  • セッションのタイムアウト時間を変えている
    • デフォルトはともに30分ですが、UAでは1分~4時間までだったところが、
      GA4では5分~7時間55分まで選択可能になっています。
    • UAの設定でタイムアウト時間を長く設定していて、GA4でこの設定を変えて
      いない場合、セッションが切れにくいためセッション数がUA<GA4となる
      可能性があります。
  • その他の変動要因
    • 「レイトヒット」と呼ばれる発生後すぐに送信されないヒットがあり、GA4では
      最大72時間(UAでは4時間)遅れて届いたイベントも処理されるため、72時間後に再度データを
      参照した場合にデータが異なる可能性があります。
    • iOSアプリにおいて、アプリがバックグラウンド状態になるとGA4のイベントが自動で
      送信されるため、UAよりもセッション数やイベント数が多くなることがあります。
       

②PV数がUA>GA4となる

  • GA4でしきい値が適用されている場合:Googleシグナルがオンになっており、期間内の訪問ユーザーが少ない場合、
    少ないデータは足切りされることがあります。
    • 足切りされたデータはレポートの画面に表示されないことがあります。
      (そもそも集計されなくなってしまいます)
    • この問題を解決するには、ユーザーを識別する方法である「レポート用識別子」を
      「デバイスベース」に変更することで、UAと同様の集計を行うことができます。
      (※レポート用識別子を変更することでデータに恒久的な影響が出ることはありません。)
    • ただし、「レポート用識別子」は一度変更すると、一定時間が経過しないと再変更できないため、
      変更する際は注意が必要です。
  • クエリ・パラメータ付URLでないとページが判別できない構造になっている場合
    • GA4においては、UI上ではパラメータのないURLしか確認することができません。
    • パラメータがついている状態で初めてページが弁別できる場合は探索レポートを使って
      「クエリ文字列」表記のあるディメンションを確認しないと正確な値が測定できない場合が
      あります。

③ユーザー数がUA>GA4となる

  • GA4上の「ユーザー」は「アクティブユーザー」であり、UAの「ユーザー」とは異なるためご注意ください。
  • UAではUser-ID(自社サービスのアカウントIDなどユーザーごとにユニークなID)を使用していない
    場合、Client-ID(仮名のブラウザやインスタンスに自動でつけられたID)が使用されていましたが、
    GA4でUser-IDを使用している場合や新しくユーザー識別機能として追加された「Googleシグナル」
    をオンにしている場合ではユーザー数に差が発生することがあります。
    • Googleシグナルを利用している場合、クロスデバイス利用であっても個人が特定できる
      可能性があるため、UAよりもGA4でユーザー数が少なくなる(=GA4ではクロスデバイス
      利用者が同一ユーザーとして「正しく」カウントされる)ことになります。
  • アプリの場合、GA4では自動取得されるイベントがUAでは個別に手動で設定するものであった
    ため、GA4においてユーザー数が多くなることがあります。
    (ユーザー数の増加=自動でユーザーの細かい挙動まで取得でき、個人が識別しやすくなる)
     

④平均セッション(継続)時間がUA>GA4となる

  • UAでは直帰セッション(滞在時間0秒)は無視され、計算式に入りません。
    • UAの平均セッション時間の計算式:全セッションのページ滞在時間合計÷セッション数
      • ※割る数のセッション数には直帰セッション(滞在時間0秒)も含む
  • GA4ではすべての訪問を計測対象としており、また「フォアグラウンドにあった時間」を
    計測しているため、UAよりも短くなる傾向があります。
    平均セッション継続時間の計算式:ユーザーエンゲージメントの合計(秒)÷セッション数
    • GA4では離脱のタイミングが取得できるという点にご注意ください。

⑤直帰率の値が異なる

  • 直帰率はUAとGA4で定義が大きく異なっており、GA4には直帰率がそもそも存在しないため、
    比較できません。
  • この点については次回の記事にて後述します。

⑥CVがUA<GA4となる

  • GA4とUAではコンバージョンの計測方法が異なります。
  • GA4では1回のセッション中に同じCVが複数回発生した場合、そのすべてが記録されますが、
    UAでは初回のみが記録されるため、同じCVであってもUA<GA4となる可能性が高いです。
  • また、eコマースイベントにおいて、UAとGA4で互換性のないイベントやパラメータを使用していた
    場合、データが取得できないことで差が発生することがあります。

今回はGA4とUAのデータの違いと違いが出る場合のケースについてお伝えしました。
次回は、データが比較できるケースと指標についてご説明します。

UAデータとGA4データの数値の違いにお悩みの場合は、上記をぜひご確認ください。


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