GA4とUAでデータが違う場合に確認すべきこと①

公開日: 2023/9/1

GA4情報

こんにちは、FAROチームです。

GA4に移行はしたものの、UAと数値や定義が変わりお困りの方も多いかと思います。
今回は、GA4とUAの数値が一致しない場合に考えられることをピックアップし、お届けします。
 ※2023年12月8日に情報更新

なぜGA4とUAで数値が一致しないのか?

GA4は、そもそもUAと根本的な設計理念およびデータモデルが異なります。
PVなど特定条件下で比較できる指標もありますが、基本的にGA4とUAデータは並列比較することができません。
 

  • UAではWEBサイトのみが計測対象でしたが、GA4ではアプリも計測対象となり、包括的なデータ取得が可能になりました。
  • これに伴い、セッションを中心としたデータ体系から、イベントを中心としたデータ体系へ変更されました。
    • UAでは、セッション・ページビュー・eコマースなどデータごとに種類が異なるヒットデータが送られていました。
    • これに対し、GA4ではほとんどが「イベント」として取得され、セッションやページビューという「イベント」が取得されるようになりました。
    • このため、ページ別滞在時間や直帰率といったヒット単位の指標やディメンションは変更・廃止となりました。
       
  • また、同じ名称のディメンション・指標であっても定義や取得方法が変わって並列比較できないことがあります。
    • 代表的な指標として、セッション、コンバージョン、イベント、直帰率などが挙げられます。
       
  • GA4ではUIに表示されるデータと探索レポートで表示されるデータ、APIで取得できるデータのソースが異なるため、
    同一期間であってもUI・探索・API経由のデータで数値に差が発生することがあります。

 

こういった仕様上の差があるため、基本的にGA4とUAデータは「完全一致はしないもの」と考え、
GA4でのデータのとり方・KPIの設定を新たに考えていくことが推奨されます。
 
 

上記の前提とは別に、設定による差がある場合

設定によりデータに差が出るケースとして、下記の4つが考えられます。

①古いタグ(analytics.js)を使っている

  • タグの実装ミス・タグの設定範囲が異なる場合。
  • analytics.jsを利用している場合、イベントが正確に記録されないことがあります。
     

②UAではデータフィルタがかかっていた場合

[GA4] データ サブセットのフィルタリング、レポート、アクセス制限 - アナリティクス ヘルプ

  • UAではビューごとに設定できたデータフィルタは現状GA4では使用できません。
    • 360でのみ類似機能の「サブプロパティ」が利用可能です。
  • 特定のURLパラメータを除外していたケースも同様に、除外設定はできません。
    • GA4にはURLパラメータフィルタ機能がないため、比較ができません。
       

③セッションの継続時間(タイムアウトするまでの時間)設定を変更していた

④UAからコピーされたCVがうまく稼働していない

  • UAからコピーされたCVは自動翻訳され、類似CVイベントとして登録されますが、互換性がない
    ディメンション・パラメータを使用していた場合などはCV自体が測定できていない可能性があります。



よくある「ズレ」のパターン

①セッション数がズレる

  • セッション数は測定定義が変更になったこともあり、完全に一致することはほぼありません。
  • また、GA4のセッション数はユニーク セッション IDを元にした「推定値」であるため、
    UAの数値とは必ずしも一致しません。
  • 一般的に、セッション数はUA>GA4となることが多いです。
     

 A.セッション数がUA>GA4となるケース

  • セッションが途切れるタイミングが変化した影響
    • UAでは日付が変わったタイミング・新しいキャンペーンパラメータによる
      セッションが開始されたタイミングで新しいセッションが開始されるように
      なっていましたが、GA4ではこのようなセッションの断絶がないため、
      UA>GA4となりやすい傾向があります。
       

 B.セッション数がUA<GA4となるケース

  • セッションのタイムアウト時間を変えている場合
    • デフォルトはともに30分ですが、UAでは1分~4時間までに対し、
      GA4では5分~7時間55分まで選択可能になっています。
    • UAの設定でタイムアウト時間を長く設定していて、GA4では設定を変えて
      いない場合、セッションが切れにくいためセッション数がUA<GA4となる
      可能性があります。
       
  • その他の変動要因
    • 「レイトヒット」と呼ばれる発生後すぐに送信されないヒットがあり、GA4では
      最大72時間(UAでは4時間)遅れて届いたイベントも処理されるため、72時間後に再度データを
      参照した場合にデータが異なる可能性があります。
    • iOSアプリにおいて、アプリがバックグラウンド状態になるとGA4のイベントが自動で
      送信されるため、UAよりもセッション数やイベント数が多くなることがあります。
       

②UAでページビュー数が多い

  • GA4でしきい値が適用されている場合
    • Googleシグナルがオンになっており、期間内の訪問ユーザーが少ない場合、
      少ないデータは足切りされることがあります。
      • 足切りされたデータはレポートの画面に表示されないことがあります。
      • この問題を解決するには、ユーザーを識別する方法である「レポート用識別子」を
        「デバイスベース」に変更することで、UAと同様の集計を行うことができます。
        (※レポート用識別子を変更することでデータに恒久的な影響が出ることはありません。)
      • ただし、「レポート用識別子」は一度変更すると、一定時間が経過しないと再変更できないため、
        変更する際は注意が必要です。
  • クエリ付URLでないとページが判別できない構造になっている場合
    • GA4においては、UI上ではパラメータのないURLしか確認することができません。
    • パラメータがついている状態で初めてページが弁別できる場合は探索レポートを使って
      「クエリ文字列」表記のあるディメンションを確認しないと正確な値が測定できない場合が
      あります。
       

③UAでユーザー数が多い

  • GA4上の「ユーザー」は「アクティブユーザー」であり、UAの「ユーザー」とは異なります。
  • UAではUser-ID(自社サービスのアカウントIDなどユーザーごとにユニークなID)を使用していない
    場合、Client-ID(仮名のブラウザやインスタンスに自動でつけられたID)が使用されていましたが、
    GA4でUser-IDを使用している場合や新しくユーザー識別機能として追加された「Googleシグナル」
    をオンにしている場合ではユーザー数に差が発生することがあります。
    • Googleシグナルを利用している場合、クロスデバイス利用であっても個人が特定できる
      可能性があるため、UAよりもGA4でユーザー数が少なくなる(=GA4ではクロスデバイス
      利用者が同一ユーザーとして「正しく」カウントされる)ことになります。
  • アプリの場合、GA4では自動取得されるイベントがUAでは個別に手動で設定するものであった
    ため、GA4においてユーザー数が多くなることがあります。
    (ユーザー数の増加=自動でユーザーの細かい挙動まで取得でき、個人が識別しやすくなる)
     

④UAで平均セッション(継続)時間が長い

  • UAでは直帰セッション(滞在時間0秒)は無視され、計算式に入りません。
    • UAの平均セッション時間の計算式:全セッションのページ滞在時間合計÷セッション数
      • ※割る数のセッション数には直帰セッション(滞在時間0秒)も含む
  • GA4ではすべての訪問を計測対象としており、また「フォアグラウンドにあった時間」を
    計測しているため、UAよりも短くなる傾向があります。
    平均セッション継続時間の計算式:ユーザーエンゲージメントの合計(秒)÷セッション数
    • GA4では離脱のタイミングが取得できるという点にご注意ください。
       

⑤直帰率の値が異なる

  • 直帰率はUAとGA4で定義が大きく異なっており、GA4には直帰率がそもそも存在しないため、
    比較できません。
  • この点については次回の記事にて後述します。
     

⑥GA4でコンバージョン数が多い

  • GA4とUAではコンバージョンの計測方法が異なります。
  • GA4では1回のセッション中に同じCVが複数回発生した場合、そのすべてが記録されますが、
    UAでは初回のみが記録されるため、同じCVであってもUA<GA4となる可能性が高いです。
  • また、eコマースイベントにおいて、UAとGA4で互換性のないイベントやパラメータを使用していた
    場合、データが取得できないことで差が発生することがあります。

     

今回はGA4とUAのデータの違いと違いが出る場合のケースについてお伝えしました。
次回は、データが比較できるケースと指標についてご説明します。

UAデータとGA4データの数値の違いにお悩みの場合は、上記をぜひご確認ください。


FAROチーム 

 

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